信用してないからじゃなく、心配だから家政婦を雇った、と。

「どうしたって、子供を置いて先に逝くんだよ。 だから自分が目の届くうちに、幸せになってるか安心してぇんだよ」


過保護すぎる両親をウザイと思って、離れた土地にやってきたあたし。


彼を勝手に雇ったことにすら、信用されてないとムカついた。

だけど、今は違った。


両親に放任されていることは、必ずしも幸せなことじゃない。

逆に過保護な親には苦労もするけど、愛されていると考えれば幸せなことなんだって。


「俺は両親に愛された記憶はねぇけど、親になって思った。 産んでくれたこと、一人でいたにしろ育ててくれたことには感謝したよ。
こんな俺だって、大人になるまでは両親がいなきゃ生きてねぇんだからな」


そして、陸君に出会えたことは奥さんに感謝していると微笑んでいた。


初めて目の前で見た彼の穏やかな笑顔に、トクンと胸が高鳴った。


「今はウゼェかもしれねぇけど、分かってやるんだな。 お前が可愛くて仕方ないだけなんだからよ」


「……う、うん。 あんたも、そうなんだ?」


「あ? まあな……」


ほんの少し、照れ臭そうに前髪を弄っている彼を見て、更にドキドキする。


たった半日で、いろんな話しをした。

あたしの考え方も、彼への感情も多少の変化があった。


もっと、もっと、彼を知りたい。

そう思った―――――――


.