暇アピール=読書しなさいってか。
読書は嫌いじゃないけど、これじゃまた振り出しに戻ったじゃない。
5冊積まれた本の中から一つ手に取り、溜め息をつく。
――――ギシッ……
ん……?
ソファーが右に沈んだことに疑問を抱いたあたしは、横に顔を向けて驚いた。
さっき向かい側に座っていた奴が、何故か直ぐ隣にいるんだもん。
「なっ、な――……」
「寂しい思いさせて悪いと思ってるよ」
なによっ!と、怒鳴ってやろうとした口が開いたまま塞がらない。
はい? なんて言いました?
寂しい思いさせて悪いと思ってる……。
なにそれ。
「あたし別に、寂しくなんてっ…」
言葉と共に頭に置かれたゴツゴツした手が、ふと止まった。
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