「……暇なんですけど」
呼んでおいて、大した話題がなかった。
だから、暇をアピールしてみると奴は徐に立ち上がり、与えられた部屋に入って行く。
なんだ(?)と、待っていたあたしの前に、数冊の分厚い本がドンっと積み上げられていく。
「…なんですか、コレは?」
本を指差して、奴と交互に見ていると
「本以外に何に見えんだ」
と、当たり前のように返された。
いや〜、見れば分かるけど。
「あたしが言いたいのは、コレをどうしろと?ってことです」
「ああ、読め」
短く言うと、またソファーに深々と座り本を手に取った。
しおりを挟んでおいた場所から外し、また黙々と読みふける。
.



