冷や汗なのか何なのか分からない汗が背中を伝う。
だって、男性とこんなに密着したことなんてないんだもん!
きゅゅゅゅっと、意味不明な奇声を発しかねなくて瞼をグッと閉じた時だった。
「ほら、これがみじん切りだ。 わかったか? ……おい」
ああ、何か呼ばれてる?
閉じていた瞼を、そろ〜と開けると視界いっぱいに広がった玉ねぎのみじん切り。
ツゥンと、鼻くる刺激に「うっ」と蒸せた。
「玉ねぎって嫌い! 目、痛いじゃん!」
先程までの緊張感なんて忘れた私の体は、既に玉ねぎにやられていた。
ううっ、痛い! 目にきてる!
「慣れろ。 そして、好き嫌いはするな」
「やだ! 嫌いよ! 痛いし!」
なんでだろう?
なんか出来ない悔しさからか、自分でも聞き分けないと思う言葉が次から次ぎへと溢れて止まらない。
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