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やっぱり、早く1人前になったところを見せるべきだと感じる。


何故なら、それを証明すれば"奴"が出て行ってくれるかもしれないから。


そして一人暮らしに一番大切な家事能力を極めることにしたのだけれど…………。



ポスポスポス……


「…………」

「これじゃ、野良犬も食わねぇな」


奴の見よう見まねで、ハンバーグを作ってみた。

だけど目の前のフライパンの中にある物体は、ハンバーグとは程遠い?


焦げた臭いはツンと鼻にくるし、


「つぅか、換気扇回せよ」


ポスポスポス…と舞い上がる煙がキッチンに充満して、口から思いっきり吸い込んでしまったのか……


「ケホッケホッ!」

と、蒸せて苦しみを味わった。


「ほれ、飲め」


目尻に溜まった涙を拭っていると、水の入ったコップが鼻先に突き出された。

奴からコップを受け取り、渋々飲み息を整える。


「わかんねぇなら、聞けよ」

「…………」


丸焦げな肉の塊(ハンバーグ)は勿体無いけど、ゴミとなる。

焦げたフライパンの処理をしながら、奴は淡々と口にした。


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