きっと真っ赤になって慌てる私を見て笑うに決まっ……


「あれ?」


予想と違い、彼は料理が乗ったお皿をテーブルまで運び手際よく支度をしていた。


笑わないの?


少女漫画とかだと、俺様キャラとかは主人公を苛めて、でもはにかんだりなんかして


それで、主人公はキュンと胸を鳴らしたりするはずが。


そんな素振りは全くない。



「ほれ、食えハチ公」


てか、さらにからかってくる始末。

しかも、無表情で。


「て、誰がハチ公よ!
言ったじゃないですか、私にはちゃんと名前があって…」

「俺も言ったよな。 特別な奴以外名前で呼ばねぇって」


う………確かに、言われた。


具のねも出ない迫力ある美顔に睨まれて、結局言い返せないまま食卓についてしまった。


弱い、弱いわ私!


だいたい、雇われのくせして"ハチ公"はないじゃない!


ハチ公は、主人をひたすら待つお利口さんなわんちゃんなのよ。


「だれが、主人かわかってないし……」

「さっきから、ブツブツとうっせぇな。 食わせねぇわけにはいかねぇんだから、冷めねぇうちに食いやがれ」

「くぅ〜!」


む・か・つ・く〜!!



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