ヨイショっと起き上がり、紅先輩はコートから掃けた。



私もタオルで顔を拭きながら隣に座る。



するとそのコートに、二年生コンビの龍太郎と日和が打ち始めた。



「なーんか、今日りゅうの打球に元気ねぇんだよな〜」



その練習風景を眺めながら、紅先輩がボソッと呟く。



「5限目恋ばなしてたときは、かなり元気だったけどぁ。」



「は!?恋ばな!?りゅうと?」



紅先輩は眉毛を寄せて私に尋ねて来る。



「はい。誰かに片想いしてるとか言ってたっす。」



私は打ち合いをぼやーっと見つめながら答える。



紅先輩ははぁぁ〜っと大きな溜息を一つついた。