「や、勇将先輩の顔ってやっぱ綺麗だと思って。」



私が正直に言うと、勇将先輩は照れ臭そうにはにかんだ。



「俺はテニス部の連中や弟みたいに綺麗な顔ちゃうけど、気良にそう言ってもらえるだけで嬉しい。」



「勇将先輩って私に自覚しろとか言うけど、自分だって自覚ないじゃん。」



私が勇将先輩に言うと勇将先輩が首を傾げた。



「自覚もなんも、俺がモテるのは、テニス部レギュラーやったからやし。」



私は肩をがくっと落とした。



この人、どこまでも穏やかで自分を知らない人だ…。