帰りといえど、今は渡り廊下。



周りにはかなり人がいて見られていたらしくざわざわしている。



「ちょっ…勇将先輩、人前なんすけど。」



「分かっとるよ。わざとや。」



勇将先輩が悪戯っ子みたいな笑顔になる。



「なんで。」



私が尋ねると勇将先輩は私の腰に手を回して引き寄せた。



わざと周りに見せ付けるように。



「俺の女や。可愛いからって近寄ったら、手加減せぇへんから。」



勇将先輩が低い声で言った。



それまで私が学年MVPを取ったことで群がっていた人達はそこを退いた。