【完全版】HIDE&SEEK-心と心のかくれんぼ-

「お前さぁ〜…兄貴の俺が言うのはなんだけど、良く見たら可愛いんだから気をつけろよな。」



ふざけたような言い方でも語尾は優しさが残る兄ちゃんの声。



「ん、サンキュー。」



私が素直にお礼を言うと焦ったように「お、ぉぉ。」と返ってきた。



「気良、ところでさ、マジで勇将に今日のこと言わねぇつもり?」



「…ん、言えない。」



兄ちゃんが車を駐車場に停める。



「なんで?」



「…暴漢されかけたなんて、雅さんから聞きたい?」



「……聞きたかねぇけどよ、他の男が知ってて後で自分が知る方がやだ。」



兄ちゃんは後頭部を掻きながら答えた。