私達は二人だけのあの海に向かった。



秋の海は暗く、澄んだ空には輝いた星がぽつぽつど出ている。



「な、気良、俺の話聞いてくれへんか?」



勇将先輩はテトラポッドに腰を下ろし砂浜をつま先で弄りながら言った。



「どうしたんすか?」



私が尋ねると、勇将先輩は目を細めて微笑んだ。



「俺な、不器用やからよう伝えられへんけど、めっちゃお前のこと好きでしゃあないねん。」



「何、今更?」



私が言うとぷうっと頬を膨らます勇将先輩。



「人が勇気振り絞って私もとか言えへんのか?ってか、たまには本音聞きたいわ。」



「そういうのは、言って安っぽくしたくないんすよ。」



私はそれだけ言うと夜空を見上げた。