「あ、バレとった?」



その声に私と龍太郎も後ろを振り返った。



そこには、テニス部メンバーが柔らかい笑顔で立っていた。



「っていうか、なんで龍太郎と気良が相合い傘やねん!俺かてしたことないねんで。」



「まあ…色々ね。」



拗ねた勇将先輩に、皆が笑い出した。



「あ、雨止んでる。」



誰が呟いたかは分からなかったがそう聞こえる。



龍太郎が紺色の傘を閉じ、上を見上げた。



雨の香りに混じっているのは



夢の途中に立っている私達を照らすような、温かい太陽の陽射しだった。