銀色のフェンスに真っ直ぐ私は突き進む。



−…パァン……バシャ!



フェンスの奥から、何か物音が聞こえる。



「…なんだ?」



私は濡れるのも気にせず、耳を澄ませる。



「…ヨリ!根性見せろ!」



聞いたことのある、少し癖のある掠れた低い声。



凛がナントカって歌手の声に似ていると言ってたのを覚えている。



間違いなく…芹澤俊さんの声。



私は濡れた土を踏んだ感触をスニーカー越しに感じながら歩く。



濡れているだけの芹澤さんと、泥だらけの…



「日和。」



そう、雨の降りしきるテニスコートを使ってるのは、紛れも無く私の見知った二人だ。