その日の夜。ポエムを焼かれた怨みのせいか私は眠れず、水でも飲もうと台所に降りてきた。


両親は既に寝静まり夜も深い。


音を立てぬよう静かに冷蔵庫を開け、中からミネラルウォーターを手に取った。


そこで目に付いた、未開封のウインナー。


口に含んだ水のおかげで一度は消えた怨みの炎。


それなのに、まだ私の中で何かが燃え盛る。


私はそれを復讐と捉えた。


あとはもう、本能だ。


ウインナーを全てゴミ箱へ。食べ物を冒涜する、背徳への帰依。


後悔よりも、私の心には満足感が溢れた。


これはそう、復讐だ。


擁護か、はたまた正当化か。幾度も私はその言葉を反芻(はんすう)した。


はは。


両手を広げ、高揚感に身を任せ私は高らかに哄笑した。


はぜるように、高らかに。


不思議な事に両親は起きてこなかった。