「俺のケーキ…」

いつまでも恨みがましく呟くルシに、自身は呆れた。

(ルシって結構甘いモノも、好きだよな)

「自身のケーキをあげますから、我慢してください」

「ツキヨのオヤツが無くなるから、それはダメ」

自身はニボシを取り出す。

「自身には瀬戸内産の煮干しが…」

ばっ。

突然、ルシに煮干しの袋を奪われた。

「な、何す…」

自身の抗議が終わる前に、ルシは煮干しの袋の中身を、全て口の中に納めた。

リスの頬袋ならぬ、ルシの頬袋だ。

頬を極限まで膨らませ、モグモグしているルシに、自身は再び呆れた。

「なにも一気に食べなくても良いじゃないですか…」

何日かに分けて食べようと思っていたのに…。

「くすくす…」

笑い声のした方を見ると、キスイが微笑ましげに笑っていた。

自身は、この場に居るのが二人だけで無かった事を思い出す。

恥ずかしさに、顔に熱が集まる。

「月夜もルシ君も可愛いね」

ルシは確かに綺麗だけど…。

「じ、自身は可愛くなんて無いですよ」

「いや、充分かわ…」

キスイの言葉が終わる前に、ルシが遮った。

「お前は可愛くないな。」

(煮干し食べ終わるのハヤッ)