ルシは、口に入るものなら何でも好きらしいけど…。あ、でもどちらかと言うと、こってり系が好きみたいだ。自身とは真逆だ。

ひたりと自身を見つめ、テコでも動きそうに無いルシ。

(煮干しの気分で無いのかな…)
煮干しをピコピコしてから、自身の口に入れる。

「煮干し美味しいのに…」

言いながらも財布を持ち、近所のケーキ屋に向かう自身は、最近ルシにとても甘いと思う。

「俺も一緒に行く」

玄関で靴を履いていると、ルシが言った。

男と一緒に家から出て、近所のオバサマ方に噂されるのはちょっと…。

そうルシに言うと、ルシは学校に行く時のように、猫になって肩に乗ってきた。

自身は肩に乗ったルシをつまみ上げて床に下ろす。

「それもダメです。これから行くのは食べ物を扱っている場所ですからね。動物は御法度。」

玄関のルシは不満げに、にゃーと鳴いた。