「さ、寝よ、ツキヨ?」

ギュッと抱きしめられて言われる。

(ね、寝れるか〜!)

いつもは、猫のルシと寝ていたのに、今日は何故か人型のままだ。

いつもは、小さなルシの身体を抱きしめて寝ていたけど、今日は逆に抱きしめられている。

いつもは、「寝よう」と言うまでもなく、ルシは寝息を立てていて、それを起こさないように自身がそっとベッドに潜り込んでいた。

つまり、全てがいつもと異なる。

「だ、ダメです、ルシ…」

弱々しくルシを押しやると、それより強く更に力を込めて引き寄せられた。

薄い布地を通して、ルシの体温が自身に伝わってくる。

「で、電気を消していません…」

「ああ、この明るいやつか…。俺が寝る時はいつも、ついたままだったから気がつかなかった」

あ、大丈夫、ツキヨは動かなくて良いよ。

言ったルシは自身を片手で、幼児が気に入りのぬいぐるみを抱えるように気軽に抱えたままで、ベッドから立ち上がり、パチリと電気を消した。

闇に落ちる部屋。

明るさに慣れた自身には、まさに一寸先も闇。

視覚が効かないぶん、他が敏感になったようだ。

先程よりリアルに感じる、自身の腹に回された、ルシの腕。