ルシが舌打ちした。

「俺とした事がついカッとなっちまったぜ。わりぃな、邪魔して。」

ルシはこちらを振り返る。

「俺に構わず、勝手に二人で殺(ヤ)りあってくれ。」

言ったが、既に敵は姿を眩ました後だった。

もう付近に居ないようだ。

ブーブー。

振動に気づき、携帯を確認すると、狙っていた標的が処分されたとの情報。

(襲われ損じゃないか…)

自身はため息をつき、刀を仕舞う。

それを見たルシは、元の大きさに縮み、再び自身の肩へと登った。

「なぁ、ツキヨ」

その呼びかけに、ルシの方を向くと、柔らかい舌で頬を舐められた。

「ああ、お前の血は甘いな」

果たして、自身は何を拾ったのだろうか?

ただ確かなのは、自身が拾ったのが、か弱い猫ではなかった事である。