今回のターゲットである影の出没付近は、月影清掃によって人払いがされていた。

自身が、手のひらから刀を取り出すと、ルシは鼻を鳴らし、シワを寄せた。

「なかなか良い武器で。古臭い香りがプンプンするぜ。」

愛刀と自身の付き合いは、自身が生まれた時からである。

自身が生まれた時、その祝いとして贈られたらしいが、何故それが自身に収納出来るのか等は謎だ。

身内が居なくなってしまったので誰に訪ねれば良いのか、皆目見当がつかない。

「そんなに古いのでしょうか、この刀は?」

「古いかどうかは知らないが、お前らの言う"影"とやらをだいぶ消してきてるだろ、その刀。残り香がプンプンするぜ。」

「仕方有りません。自身はこれで、"影"しか切って無いですからね、今の所。
たまには警察で対応仕切れない能力を持った人間の殺傷も、月影清掃に依頼される事が有るみたいですが、自身はまだ人外の処分しか…」

『へぇ。その実績は、今回でストップだな。…あんた、なかなか旨そうな匂いだな』

自身は慌てて身構えた。
知らぬ間に、"影"の接近を許していたらしい。


周囲を探る。今回のターゲットは人語を解さなかったはず…だが。