「まぁ、そういう相談は普通の人には難しいだろうね。」

汗が引いてきたのか、林さんはハンカチを持った手を下ろす。

「その猫に何か能力があって、パートナーにする場合は、別途登録が必要だけど。
登録したら、その分多少は手当てがつくよ。
べつに登録しなくても構わないけど。」

ふむふむ。

自身は頷きながら林さんの話を聞く。

「もしくは彼?にもアルバイト試験を受けて貰って、正式に月影のアルバイターになってもらうのも手だね…。
月影のバイトは人間でなくてもなれるし」

それから林さんは言葉を一度切って。

「他には、特に登録が必要な機関は無いから、悪い事しないならペットが人間になる位、構わないんじゃない?」

悪い事したら"影"として狩らないとダメになるけどね…。

ははは。

と朗らかに林さんは笑った。

(うちにくる前、何か悪い事してないだろうな、ルシ…)

内心不安になりつつも、自身も乾いた笑いを浮かべたのだった。