恋時雨~恋、ときどき、涙~

悔しくて、悔しくて。


情けなくて。


何よりも、ただ、とにかく、切なくて。


泣いても、泣いても、涙があふれる。


どうすれば、良かったというのだろう。


どうすれば、健ちゃんは今も、笑っていたのだろう。


やわらかな、ひだまりのように、笑ってくれていたのだろう。


ハッとして、わたしは手を止めた。


がむしゃらにかき分けた砂の中で、固くて長細い物が指先に触った。


あった!


髪飾りだ!


砂ごと掴んで引き上げて、落胆した。


それは砂まみれになって固くなった木の小枝だった。


失意の底に落とされる。


一気に力が抜けた。


ぴん、と張っていた何かの糸が突如として、ぱつりと切れてしまったのだ。


わたしは、思いっきり小枝を水面に叩きつけた。


こんなもの!


小さなしぶきが、わたしの頬に飛んできた。


わたしは乱気になって、砂をかき分けた。


わたしのせいだ。


全部、全部、全部。


何もかも、わたしのせいでこうなった。


悔しくて、だけどもう、どうすることもできなくて。


わたしは泣きながら、狂ったように砂をかき回した。


涙なのか、汗なのか、濁る水面にぽつぽつ落ちて行く。


どうして、こんなに探しても見つからないのだろう。


こんなに、探しているのに。


もっと、沖の方かもしれない。


砂をかき分けながら奥へ進もうとした時、腕を掴まれ引っ張り起こされた。


見ると、冷たい表情の健ちゃんが立っていた。