恋時雨~恋、ときどき、涙~

「辛いことも、嬉しいことも、切ないことも。運命やって受け入れる事ができたら、もう、何も怖くないで。真央」


耳に障害を持って生まれて来たことも、みんなと出逢うためだったのだと思えたら……。


耳の事、ずっと不幸だと思って生きて来たけれど。


〈わたし、幸せなの?〉


「せやで。せやで、真央」


わたし、自分をなんて不幸な人間なんだろうって、そう思って生きて来たけど。


それは、違うの?


わたしは順也の手からそっとスマホを奪って、動画を再生した。


一本のおひさまの柱。


くるくる、きらきら、その柱を回りながら乱舞する、光の羽根。


なんて、暖かい色をしているのだろう。


ダイヤモンドダストを見たのは、確かに、生まれて初めてだ。


なのに、初めて見た気がしないのはなぜだろう。


わたしは、たぶん、この暖かくて眩しい世界を知っている。


だって、かつてのわたしが住んでいたのは、こういう世界だった。


時々、雨が降って、だけど、とても暖かい世界だった。


この、ダイヤモンドダストのような優しい光がたっぷりの、ひだまりの国。


無意識の中、頬を伝い落ちたのは、わたしの涙だった。


3年前。


わたしは、たしかに、ひだまりの国で、ひだまりのようなライオンさんと笑っていた。


動画の再生が終わった時、1件のメールが入った。






店長
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ばあさんから。
遺言だそうです。
「あんたが幸せになれると思った人と一緒になりなさい」

それと、これはタケハナ少年から。
「意地っ張りな人魚姫は、返事する事ができたのでしょうか」

では、また。