恋時雨~恋、ときどき、涙~

これが、店長の生まれ育った町の冬なの。


スマホの画面いっぱいに広がって、今にも枠からはみ出しそうなほどの、白銀の森。


さらさらと降る、純白の粉雪。


向こうに見える空の袂が淡い淡い紫色から、次第に朱く、そして、朝日が白銀の森に広がった。


綺麗……。


あまりにも輝かしくて、眩しくて、わたしは一瞬だけ、瞬きをした。


これが、ダイヤモンドダストなの。


純白色の真珠が落ちて来るようだった。


金色に、銀色に、くるくる表情を変えて、雨のように森に降り注ぐ。


不思議で、不思議で、たまらなかった。


今、わたしたちが居るここは海辺で、冬の森ではない。


だけど、このディスプレイの中に迷い込んでしまったような気分に陥った。


キラキラ、キラキラ、煌めく。


輝きのひと粒ひと粒が太陽のように見える。


互いに光を放ち、互いに光を反射し合い、互いに吸収する。


瞬きがゆらゆら揺らめいて、白銀の森を神々しく照らす。


最初は力なく夏の夜に明りを灯す、蛍のように。


最後には、金色の雲間から差し込む、幾重もの光の束のように。


金色と銀色が、純白の深い冬の森に広がって行った。


動画は30秒ほどでふつりと途切れ、ディスプレイは真っ黒になった。


「もう一回」


と、順也が再生ボタンを押した。


もしかしたら、今、わたしは夢を見ているのかもしれない。


そう思った。


あまりにも美しすぎる映像を見つめながら、こっそり、ほっぺたをつねってみた。


ぴりりと、小さな痛みが頬を走る。


くるくる、くるくる、一本の太陽の柱のように差し込む光の中で回転しながら、金色の蝶々が踊っているようだ。


おかしい。


これはきっと夢なのに、でも、覚めてくれない。


困った。


わたしの心臓は、あっちへこっちへ、飛び跳ねていた。


光のひと粒ひと粒が幾億もの欠片となって、最後には小さな細かい粒子となって、輝きながら世界を舞い踊る。


3人で動画を何度も再生して見ていると、背後から人影が差しこんで来た。