あの時に素直になっていたら、そして、順也のようにピンチをチャンスに変える事ができていたのなら何かが違っていたのかもしれない。
だけど、わたしは逃げてしまった。
これ以上、傷付くことが怖かったから。
〈音を、声を、聞いてみたい! わたしの願いを、順也が叶えてくれるとでも言うの?〉
できるわけないくせに。
わたしを見つめる順也の肩越しに、鮮やかな夕焼け空が、果てしなく広がっている。
〈どうして、わたしだけ、こんな惨めな思いをしなければならないの?〉
夢がふくらんでも、見ている事しかできなくて。
恋に落ちても、結局は諦める他の道はなくて。
わたしはブーケを掴み、ありったけの力で順也に叩きつけた。
〈もう、うんざり! こんな人生は、うんざり!〉
貧相な、フラワーシャワーだ。
純白の花びらがほんの数枚だけ、粉雪が舞うようにはらはらと散らばった。
〈我慢するのはもう、嫌。我慢ばかりの人生は、もう、うんざりだよ!〉
わたしは、何のために生まれて来たのだろう。
それさえ、分からない。
〈どうして?〉
順也の背後に広がる茜色の空があまりにも綺麗で、とうとう、こらえきれなくなった。
吹き出した感情が大量の涙になって、頬を濁流のように流れ落ちる。
〈どうしてわたしは、何かを諦めながらではないと、生きて行けないの?〉
「そんなの……それは!」
両手で受け止めたブーケを掴み、
「真央が悪いんじゃないか!」
今度は順也がわたしに叩きつけて来た。
「真央が勝手に諦めているんじゃないか!」
ブーケはわたしにぶつかって、夕日が降り注ぐ芝生に無残に花びらを散らせながら転がる。
「何だよ、さっきから! いい加減にしろ!」
上半身を起こして、順也が覆いかぶさるようにわたしに掴みかかって来た。
わたしはその手を思いっきり振りほどき、突き飛ばした。
後ろに倒れ込みそうになった順也をとっさに支えて、
「順也っ……もうやめて! 真央も!」
と静奈がぽろぽろ涙をこぼす。
だけど、わたしも順也も、どちらも止めようとはしなかった。
火花が散りそうなほど、睨み合った。
「何だよ! たった一回じゃないか! たったの一回反対されたからって、諦めるなよ!」
上半身を捻り、わたしに飛びかかろうとする順也を、静奈が必死に押さえつけようとする。
「ぼくとしーが、何度反対されたと思ってるんだ。ぼくたちに比べたら、真央は甘いよ。真央はたった一回だけじゃないか!」
順也にいつものやわらかさは無く、目が充血していた。
「たった一度の反対が何だって言うんだよ!」
じたばたもがいて静奈から逃れようとする順也が、大きな大きな口で叫んだ。
だけど、わたしは逃げてしまった。
これ以上、傷付くことが怖かったから。
〈音を、声を、聞いてみたい! わたしの願いを、順也が叶えてくれるとでも言うの?〉
できるわけないくせに。
わたしを見つめる順也の肩越しに、鮮やかな夕焼け空が、果てしなく広がっている。
〈どうして、わたしだけ、こんな惨めな思いをしなければならないの?〉
夢がふくらんでも、見ている事しかできなくて。
恋に落ちても、結局は諦める他の道はなくて。
わたしはブーケを掴み、ありったけの力で順也に叩きつけた。
〈もう、うんざり! こんな人生は、うんざり!〉
貧相な、フラワーシャワーだ。
純白の花びらがほんの数枚だけ、粉雪が舞うようにはらはらと散らばった。
〈我慢するのはもう、嫌。我慢ばかりの人生は、もう、うんざりだよ!〉
わたしは、何のために生まれて来たのだろう。
それさえ、分からない。
〈どうして?〉
順也の背後に広がる茜色の空があまりにも綺麗で、とうとう、こらえきれなくなった。
吹き出した感情が大量の涙になって、頬を濁流のように流れ落ちる。
〈どうしてわたしは、何かを諦めながらではないと、生きて行けないの?〉
「そんなの……それは!」
両手で受け止めたブーケを掴み、
「真央が悪いんじゃないか!」
今度は順也がわたしに叩きつけて来た。
「真央が勝手に諦めているんじゃないか!」
ブーケはわたしにぶつかって、夕日が降り注ぐ芝生に無残に花びらを散らせながら転がる。
「何だよ、さっきから! いい加減にしろ!」
上半身を起こして、順也が覆いかぶさるようにわたしに掴みかかって来た。
わたしはその手を思いっきり振りほどき、突き飛ばした。
後ろに倒れ込みそうになった順也をとっさに支えて、
「順也っ……もうやめて! 真央も!」
と静奈がぽろぽろ涙をこぼす。
だけど、わたしも順也も、どちらも止めようとはしなかった。
火花が散りそうなほど、睨み合った。
「何だよ! たった一回じゃないか! たったの一回反対されたからって、諦めるなよ!」
上半身を捻り、わたしに飛びかかろうとする順也を、静奈が必死に押さえつけようとする。
「ぼくとしーが、何度反対されたと思ってるんだ。ぼくたちに比べたら、真央は甘いよ。真央はたった一回だけじゃないか!」
順也にいつものやわらかさは無く、目が充血していた。
「たった一度の反対が何だって言うんだよ!」
じたばたもがいて静奈から逃れようとする順也が、大きな大きな口で叫んだ。



