恋時雨~恋、ときどき、涙~

嫌い。


嫌い、嫌い、大嫌いだ!


わたしは歯を食いしばり、芝生に転がったコサージュをむしるように掴んだ。


みんな、みんな、嫌いだ。


順也だって、結局はそうだ。


わたしの気持ちなんて、分からないくせに。


分かろうともしないくせに。


〈もう、うんざり!〉


右手に力をこめて、わたしはコサージュを順也の顔面に投げつけた。


一瞬、順也が表情を歪めた。


そんな順也の胸を突き飛ばして、わたしは攻撃的な手話をぶつけた。


〈こんな毎日、うんざり!〉


だって、頭にきた。


まさか、順也に挑発されるなんて、思いもしなかった。


そして、それが他の誰でもない、いちばん信頼している順也だったからなのかもしれない。


わたしは、感情のコントローラーを破壊してしまっていたのかもしれない。


「真央。ひとつ、言わせてもらうけどね」


平然とした様子で、淡々とした表情で、ひょうひょうとした態度で、順也は続けた。


「我慢と辛抱は、違うんだよ。その区別もできないのなら、もう終わりだね。真央は、我慢ばかりしている」


わたしの心はどろどろ灼熱のマグマ溶岩のように、煮えたぎっていた。


それが怒りなのか、悔しさなのか、さっぱり判別できない。


「今の真央は情けないよ。情けないし、かっこ悪い」


情けなくて、格好悪くて、けっこう。


ぐつぐつ、どろどろになったわたしの感情が一気に、火口付近から吹き出した。


「情けなくて、可哀想な、ただの女だ」


そうですか。


それはどうもすみません、だ。


わたしは握りしめていたひまわりの髪飾りを、順也に思いっきり投げつけた。