真央ちゃんと健ちゃんが一番辛い時期を迎えたのは、決して3年前ではなかったのではないかと思います。
3年前の別れが一番辛いというのは、違うのでないかと思います。
おそらく、今、なのだと思います。
一番辛い時期というものを、私と健ちゃんは乗り越える事ができなかったけれど、だけど、ふたりは乗り越えられるのだと思います。
まだ、頑張れるのだと思います。
心が離れていないのだから、頑張れるのだと思います。
遠いアメリカの地から、私はそうなのだと思っています。
順也さん、愛する奥様と幸せな家庭を築いてください。
草々
From Koe
To Junya
p.s. 健ちゃんの心の声、聞いてあげてください。
手紙を読み終えた時、上空は金色が混じった朱色に染まっていた。
果江さんに会いたい、そう思った。
わたしは震える指でその一文をなぞったあと、便箋を折りたたんだ。
【まだ、頑張れるのだと思います。】
「真央?」
順也の手が、わたしの顔を扇ぐ。
「読んだの?」
わたしは頷いた。
頷くことしかできなかった。
胸がいっぱいで、それが精一杯だった。
そんなわたしを覚ったのか、順也は何も聞いてこなかったけれど、わたしの手から封書をとって、
「これは、ぼくじゃなくて、真央が持っているべき物だと思うから」
とわたしのハンドバッグにしまった。
ふたつの影が芝生に長く伸びている。
3年前の別れが一番辛いというのは、違うのでないかと思います。
おそらく、今、なのだと思います。
一番辛い時期というものを、私と健ちゃんは乗り越える事ができなかったけれど、だけど、ふたりは乗り越えられるのだと思います。
まだ、頑張れるのだと思います。
心が離れていないのだから、頑張れるのだと思います。
遠いアメリカの地から、私はそうなのだと思っています。
順也さん、愛する奥様と幸せな家庭を築いてください。
草々
From Koe
To Junya
p.s. 健ちゃんの心の声、聞いてあげてください。
手紙を読み終えた時、上空は金色が混じった朱色に染まっていた。
果江さんに会いたい、そう思った。
わたしは震える指でその一文をなぞったあと、便箋を折りたたんだ。
【まだ、頑張れるのだと思います。】
「真央?」
順也の手が、わたしの顔を扇ぐ。
「読んだの?」
わたしは頷いた。
頷くことしかできなかった。
胸がいっぱいで、それが精一杯だった。
そんなわたしを覚ったのか、順也は何も聞いてこなかったけれど、わたしの手から封書をとって、
「これは、ぼくじゃなくて、真央が持っているべき物だと思うから」
とわたしのハンドバッグにしまった。
ふたつの影が芝生に長く伸びている。



