恋時雨~恋、ときどき、涙~

キラキラ煌めく水面を眩しそうに見つめる順也の横顔に頷いて、わたしは便箋を開いた。



式には真央ちゃんも来るそうですね。
もう会えましたか?
元気でしたか?


私も真央ちゃんに会いたいです。
伝えたい事がたくさんあります。


厚かましいお願いなのですが、順也さんから伝えてもらえたらと思い、気持ちを便箋にしたためる事にしました。
亘から聞きました。
ふたりのこと、3年前のこと。
苦しい選択があったこと、辛い別れがあったこと。


そして、今の健ちゃんのこと。
全部、亘から聞いています。





そこまで読んで、わたしは深呼吸した。


便箋を持つ指が震えるほど、なぜか緊張していた。


息を吐き出して、再び視線を便箋に戻す。





順也さんも知っている通り、私は心臓に重い病を抱えていました。
だから、卑屈な毎日を生きていました。
健常者と持病を抱えた人間が同じ人生を歩めるはずがない、必ず限界が来る、そう思っていました。
でも、それは違うと教えてくれたのは、順也さんの大切な幼なじみの女の子でした。


真央ちゃんは私に、生きて下さいと、諦めるなと、言っていました。
声でも言葉でもなく、全身で伝えてきました。
だから、私は乗り越える事ができたのだと、諦めなかったのだと思っています。


長々と書くのは失礼と思いますので、そろそろ最後にします。
でも、これだけは、伝えたいです。
順也さん、そこに真央ちゃんがいるのなら、伝えてください。