恋時雨~恋、ときどき、涙~

順也は、やっぱり、優しい目をしていた。


それに、やっぱり、順也の両手は優しい動きをする。


「真央」


順也。


〈おめでとう!〉


「ありがとう。真央」


今日の順也は、とってもかっこいい。


「おかえり。真央。会いたかったんだ、ずっと、真央に」


こくり、と頷くと、順也の優しい色の瞳に、薄く涙が滲んだ。


「見てくれた? ぼく、立てるようになったんだ。見て欲しかったんだ。他の誰でもない」


真央にね、そう言って、順也はにっこり微笑んだ。


わたしを差す、順也の人差し指が微かに震えている。


「真央は」


降り注ぐ陽射しが、順也の笑顔を宝石のように輝かせる。


順也の頬を、一滴の涙が伝い落ちていった。


「ぼくの、大切な、大切な、幼なじみだから」


どうして、わたしは、22歳になるまで、こんな簡単な事に気付けなかったのだろう。


いつも、ただ必死に生きていたから、全部見落としていたのかもしれない。


「真央、順也、幸」


友人たちに挨拶を終えた静奈が、ウエディングドレスを膨らませて、駆け寄って来た。


「しー」


息を弾ませながら駆けて来る静奈を見た後、順也がまるでひそひそ話をするように、こっそりと手話をした。


「受け取ってあげて。しーの夢だったんだ」


受け取る?


何を? 、と聞くと、順也は意味深に笑って、バスケットボールチームの仲間の元へ向かって行った。


「真央」


静奈は、童話に出てくるお姫様みたいに綺麗。


「もう、会えた?」


息を弾ませる静奈の問いに、わたしは首を傾げた。


〈誰に?〉


「健太さん」


胸が、心が、わしづかみされた。