恋時雨~恋、ときどき、涙~

真央を、特別扱いしないで。


そう言ってくれたのは、順也だけだった。


わたしの幼馴染だけど、お兄ちゃんでもあった。


「あなたは長澤静奈を妻とし、病める時も、健やかなる時も、生涯変わらず、愛する事を誓いますか」


「順也くん、はい、誓います、やって」


隣で、幸が通訳してくれた。


「長澤静奈」


「はい」


「あなたは、笹森順也さんを夫とする事を、望みますか」


「はい。望みます」


「あなたは笹森順也を夫とし、病める時も、健やかなる時も、生涯変わらず、愛する事を誓いますか」


純白のAラインのシンプルなデザインの、ウエディングドレス。


ロイヤルブルーのバージンロードに、真っ白なロングレレーンのドレスが美しく映える。


幸が、静奈の言葉を、教えてくれた。


「はい、誓います、やって」


神父様が、順也にマリッジリングを差し出した。


それを受け取り、静奈の左手の薬指にはめる、順也。


そして、順也の指にはめる、静奈。


ふたりを見て、あの真冬の日を思い出し、また目頭が熱くなった。


あの時は、ただの毛糸を指に結んだだけで。


だけど、それをきれいだと言って、静奈は冬の空にかざして嬉しそうに微笑んでいたっけ。


本当に、いろんなことを、ふたりは乗り越えて来た。


20歳になったらもう一度プロポーズするからと、順也は言ったなあ。


ステンドグラスから燦燦と降り注ぐ陽射しが、純白のふたりをやわらかく包み込んでいった。


「誓いのキス、やって」


いややわ、どないしよ、こっちが照れてまうわ。


そう手話をして、幸は頬を赤らめて祭壇の方に向き直った。


順也が不自由な体を支えていた杖を祭壇に立てかけて、自分の力だけで真っ直ぐ立った。


静奈が、軽く膝を曲げる。