恋時雨~恋、ときどき、涙~

歯を食いしばってリハビリをする順也の姿が浮かぶ。


どんなに苦しんだのだろう。


静奈だってそうだ。


順也を支えながら、両親を説得させるのは大変だったのだと思う。


ふたりは、いくつの困難を乗り越えたのだろう。


その祭壇に上がるまで、決して平坦な道ではなかったと思う。


純白のふたりの後姿が、唐突に込み上げた涙で滲む。


すごいなあ。


ふたりは、本当に、すごい。


何度もぶつかったと思う。


ふたりで泣いた日も、きっと、あったのだと思う。


それでも、一緒に乗り越えて、今、そこに立っているのだろう。


きっと、わたしには想像もつかないほどのいばらの道を歩んできたのだと思う。


わたしは、杖で体を支える順也の足を見つめた。


涙が、頬を伝い落ちて行った。


頑張ったね、順也。


諦めなかったんだね。


本当に……頑張ったね。


神様。


わたしの幼馴染はとても眩しくて、優しい、木漏れ日のような人なのです。


わたしの親友はとにかく暖かい、冷たい夜空を明るく照らす、月明かりのようなひとなのです。


どうか、これ以上、試練など与えないでください。


木漏れ日と、月明かりに、幸せだけを……。


幸せのみを。


一同が讃美歌を歌っている時も、神父様が聖書を朗読している時も、祈祷、式辞の時も。


わたしは、ずっと、祈り続けた。


これからは、ふたりがずっと、ただ幸せであるように、と。


「笹森順也」


神父様の口が、言った。


「あなたは、長澤静奈さんを妻とすることを、望みますか」


もともと背の高い順也は、純白のタキシードが良く似合っている。


勉強も運動も得意な、順也。


優しさの光を集めた木漏れ日のような、順也。