恋時雨~恋、ときどき、涙~

どうすればいいのかな。


道の真ん中に立ち止まり見上げた空は、今にも泣き出しそうな灰色だった。


晴れるわけでもなく、雨が降っているわけでもない。


渦を巻いた迷いの森に迷い込んだ、わたしの心と同じ色だった。


朝は、あんなに綺麗な青空が広がっていたのになあ。


わたしは、大きな、重い溜息を吐き出して、のろのろと歩き出した。


お父さん、お母さんと離れて生活するのは、もう嫌だ。


それに、例え北海道へ行ったところで、店長とうまくやっていく自信は正直、ない。


断ればそれでいいだけの事だ。


でも、わたしがここまで悩んでしまうのには理由があった。


店長と、従業員。


わたしと彼の空間には、それ以外に何も存在していなかった。


だけど、今、わたしはある事に気付き始めていたのだ。


これは、恋愛感情なのかも、はっきりとは分からないけれど。


わたしにとって、店長ではなく、武塙秀一という人は。


確実に、かけがえのない存在になっていたのだ。


だから、わたしは、とても揺れているのだ。











わたしは、キッチン・タケハナからほんの数分のところにあるコンビニに入り、店内をうろうろしていた。


商品を手にとっては元の位置に戻す、を繰り返す。


一体、何をしに来たのか分からない。


考えてみなくても、買って行く物など何もないのだ。


冷たいものなんて、キッチン・タケハナにいくらでもある。


オレンジジュースも、アイスティーも、コーヒーも。


あわよくば、アイスだって、シャーベットだって、ジェラートだってある。


ばかみたいだ。


わたしは、手にしていた缶コーヒーを元に戻して、コンビニを出た。


帰ろう。