連絡を取っていれば、いずれたまらなく恋しくなる日が来る。
遠く離れているからこそ。
あの、海辺の町が、大好きなみんなの事が、恋しくてたまらなくなるに決まっている。
そして、会いたくてたまらなくなる。
簡単に会えるような距離ではないからこそ、会いたくなる。
甘えたくなる。
何より、健ちゃんへの想いは膨らむ一方だ。
だから、わたしは全ての事に終止符を打つ事にした。
何も順也や静奈とまで連絡を切らなくてもいいのではないのか。
お父さんもお母さんも、そう言っていた。
でも、まわりが何と言おうと、わたしはそういうわけにはいかなかった。
誰に何を言われても、そうする他なかった。
そして、幸が紹介してくれた「先輩」という人には頼らないことにした。
その人と幸が繋がっているのは明らかだったから。
そこでお世話になったら、せっかく断ち切ろうとしている決意が全て水の泡になる。
わたしの所在なんて簡単にばれて、結局はみんなと連絡をとることになるのは明確だと思った。
大人になろうと思った。
全てにピリオドを打って、しなやかにひょうひょうと歩ける、大人に。
順也のような頼りになる存在がなくても、静奈のような大親友が隣に居なくても。
幸や中島くんのような、同じ夢を追いかける仲間がいなくても。
健ちゃんのようなひだまりに包まれていなくても。
ひとりでもしっかりと胸を張って歩いて行ける、そんな強い人間になろう、と。
「真央。ごはん、食べよう。冷めちゃう」
手話をして、お母さんが立ち上がる。
頷いて、わたしも立った。
初夏の風が、わたしの頬を撫でる。
おひさまが、ゆっくり、空高く昇って行く。
遠く離れているからこそ。
あの、海辺の町が、大好きなみんなの事が、恋しくてたまらなくなるに決まっている。
そして、会いたくてたまらなくなる。
簡単に会えるような距離ではないからこそ、会いたくなる。
甘えたくなる。
何より、健ちゃんへの想いは膨らむ一方だ。
だから、わたしは全ての事に終止符を打つ事にした。
何も順也や静奈とまで連絡を切らなくてもいいのではないのか。
お父さんもお母さんも、そう言っていた。
でも、まわりが何と言おうと、わたしはそういうわけにはいかなかった。
誰に何を言われても、そうする他なかった。
そして、幸が紹介してくれた「先輩」という人には頼らないことにした。
その人と幸が繋がっているのは明らかだったから。
そこでお世話になったら、せっかく断ち切ろうとしている決意が全て水の泡になる。
わたしの所在なんて簡単にばれて、結局はみんなと連絡をとることになるのは明確だと思った。
大人になろうと思った。
全てにピリオドを打って、しなやかにひょうひょうと歩ける、大人に。
順也のような頼りになる存在がなくても、静奈のような大親友が隣に居なくても。
幸や中島くんのような、同じ夢を追いかける仲間がいなくても。
健ちゃんのようなひだまりに包まれていなくても。
ひとりでもしっかりと胸を張って歩いて行ける、そんな強い人間になろう、と。
「真央。ごはん、食べよう。冷めちゃう」
手話をして、お母さんが立ち上がる。
頷いて、わたしも立った。
初夏の風が、わたしの頬を撫でる。
おひさまが、ゆっくり、空高く昇って行く。



