恋時雨~恋、ときどき、涙~

わたしは、上空に広がる青空を両手で仰いだ。


例えば、そこには良く晴れた夜空が広がっているとしよう。


そうなると、あの太陽は、まんまるのお月さまだ。


〈まるで〉


あの、雄大な夜空。


キラキラ、そして、バラバラ。


すぼめた右手を頭上で自分に向ける。


キラ、キラ、輝く。


その手を閉じたり開いたり、を繰り返した。


バラ、バラ、降ってくる。


まるで、輝く星がわたしに降る優しい時雨のように。


〈星屑を散りばめたように〉


うん、と健ちゃんが頷きながら、わたしの両手を見つめた。


〈きれい、だよ〉


ほんとうに、ほんとうに、きれい、だったの。


健ちゃんと過ごした毎日は、ほんとうに、きれいだった。


「そっか。そんなにきれいな世界に、真央は生きてんのかあ」


そっか、そっかあ、と何度も凝り返した健ちゃんは、本当にうれしそうに笑っていた。


「それなら、安心したんけ。それだけは、どうしても聞いておきたかったんけなあ。慌てて、追いかけて来たんだ」


見ろ、まぬけだろ、と健ちゃんは自分の足元を指さしてはにかんだ。


思わず、吹き出してしまった。


〈まぬけだね〉


だって、本当にまぬけだと思った。


右足はいつものアディダスのスニーカーで、左足は水色のクロックスのサンダルで。


〈まぬけだよ〉


本当に……胸が痛かった。


どんなに慌てていたのだろう。


そして、どれくらい急いで、そんな事を聞くために、わたしを追い掛けてきたのだろうか。


それを思うと、胸が締め付けられた。