恋時雨~恋、ときどき、涙~

でも、無視して、わたしはたたみかけるように両手を動かした。


〈もう無理なんだよ! もう嫌! 健ちゃんと一緒に居ると、苦しい!〉


好きで、好きで。


たまらなく、大好きで。


〈苦しいよ!〉


「真央!」


〈健ちゃんと居ると、自分が惨めになる〉


わたしは、健ちゃんを指差した。


あなたと一緒に居ると、幸せで、たまらなく幸せで。


だから、苦しい。


〈健ちゃんと、わたしは、違いすぎる!〉


健ちゃんは落胆したように、両手を下ろした。


健ちゃんは、いつも、わたしを助けてくれた。


でも、いざとなった時、わたしにはそれができなかった。


〈健ちゃんが倒れた時、わたしは、気付くことさえできなかった〉


だから、悔しくて、情けなくて、たまらなかった。


〈わたしは、現実を思い知らされた。わたしには、健ちゃんを幸せにすることができない〉


健ちゃんはただ呆然と突っ立って、わたしの両手を見つめていた。


〈明明後日、この街を出る〉


「……いつ」


わたしが首を傾げると、健ちゃんは真っ直ぐな目をして聞いてきた。


「いつ、戻って来る?」


ひとつ間を置いて、わたしは首を振った。