背中を叩かれた。
振り向くと、順也がいて首を傾げていた。
「どうしたの?」
どうしたもこうも。
「誰? もしかして、しー?」
静奈じゃない。
静奈だったら、どれほどいいことか。
ほとんど目も合わせないくらい気まずい仲になっているのに、静奈が来るはずもなかった。
〈違う〉
わたしは首を振ってゆっくり手を動かした。
〈健ちゃんの、お母さん〉
ドアを開けると、スーツ姿の健ちゃんのお母さんが立っていた。
順也を見て一瞬ぎょっとした目をしたけれど、すぐにぺこりと清楚に会釈をしてきた。
わたしも会釈を返す。
わたしはすぐにポケットに手を突っ込んだ。
手話が通じない健ちゃんのお母さんと会話をするためのメモ帳とボールペンを、ポケットから取り出す。
メモ帳を広げた時、すうっと白い手が伸びてきて、
「真央さん。いいのよ」
わたしの両手を止めて、健ちゃんのお母さんが言った。
健ちゃんのお母さんはにっこり微笑んでいた。
「これは、必要ないから」
え……でも。
筆談しないと、わたしは健ちゃんのお母さんと話ができないのに。
振り向くと、順也がいて首を傾げていた。
「どうしたの?」
どうしたもこうも。
「誰? もしかして、しー?」
静奈じゃない。
静奈だったら、どれほどいいことか。
ほとんど目も合わせないくらい気まずい仲になっているのに、静奈が来るはずもなかった。
〈違う〉
わたしは首を振ってゆっくり手を動かした。
〈健ちゃんの、お母さん〉
ドアを開けると、スーツ姿の健ちゃんのお母さんが立っていた。
順也を見て一瞬ぎょっとした目をしたけれど、すぐにぺこりと清楚に会釈をしてきた。
わたしも会釈を返す。
わたしはすぐにポケットに手を突っ込んだ。
手話が通じない健ちゃんのお母さんと会話をするためのメモ帳とボールペンを、ポケットから取り出す。
メモ帳を広げた時、すうっと白い手が伸びてきて、
「真央さん。いいのよ」
わたしの両手を止めて、健ちゃんのお母さんが言った。
健ちゃんのお母さんはにっこり微笑んでいた。
「これは、必要ないから」
え……でも。
筆談しないと、わたしは健ちゃんのお母さんと話ができないのに。



