恋時雨~恋、ときどき、涙~

「果江の手術、成功したよ。今朝、連絡があった」


と亘さんは楽しそうに電話の受話器を耳にあてる仕草をした。


やった!


嬉しくて、ジャンプした。


わたしは無意識のうちに、亘さんの手を握っていた。


「ありがとう。真央ちゃんのおかげだよ」


お礼を言われたけれど、わたしは後ろめたかった。


上手く笑うことなんかできない。


わたしのおかげだなんて。


倒れている健ちゃんを見つけた時。


救急車さえ呼ぶことができないわたしに、ありがとうという言葉は勿体なさすぎる。


病室に入ると、健ちゃんはムッとした顔でわたしを睨んだ。


「真央」


そして、きょとんとする亘さんをちらりと見たあと、


「なんだんけ」


いじけたように唇を尖らせた。


「お前ら。一緒に来るなんて。めちゃくちゃ怪しんけ」


ぶっきらぼうに両手を動かす健ちゃんを見て、わたしと亘さんは同時に吹きだした。


「何がだよ。今、そこでたまたま一緒になったんだよ」


ね、と亘さんはわたしに微笑みかけた。


わたしは頷いた。


「……なんか、嘘くせえなあ」