恋時雨~恋、ときどき、涙~

シンデレラがうらやましい。


突然、現れる魔女に魔法をかけられるシンデレラがうらやましい。


例え、一瞬でも。


例え、時間が限られていたとしても。


幸せなお姫様になれるシンデレラがうらやましい。


綺麗なドレスを着て、かぼちゃの馬車に乗って、大きなお城の舞踏会でダンスを踊ってみたい。


時間が限られていたとしても。


シンデレラになりたい。


その魔法はいずれ解かれてしまって、現実に戻ってしまうものなのに。


それでも、わたしはシンデレラに憧れてやまない。


嬉しいことはそう長くは続かないものだ。


悩み事は増えて膨らむ一方で、結論ばかりが急かされる。


わたしはとにかく悩んでいた。


わたしという存在が、健ちゃんを苦しませているのではないか、と。


わたしは葛藤していた。


今はうまくいっているようでも、また何かのきっかけで誰かに迷惑をかけてしまうんじゃないか。


それが火種になり、やがては周りに飛び火して、燃え移ってしまうんじゃないか。


わたしは、健ちゃんにふさわしくない女の子なのかもしれない。


どうして、わたしは、誰かに助けてもらわないと、生きて行けないのだろう。


その手紙が届いたのは、健ちゃんが入院して3日後のことだった。