恋時雨~恋、ときどき、涙~

なんだか、質問されてばかり。


わたしは頷いて、その唇を見つめた。


「健太とあなたの交際、真央さんのご両親は知っているのよね?」


もう一度、頷く。


「そう。応援して下さっているのかしら?」


もう一度、頷いた。


「そうよね。そちらとしては……」


と健ちゃんのお母さんは微妙に顔付きを変えて、また聞いてきた。


「それって、本当に心から応援して下さっているのかしら?」


どういう意味だろうか。


わたしは固まった。


「どういうつもりなのかしら」


そう言ったあと、健ちゃんのお母さんは、


「本当に分かってるのかなあ」


と首を傾げた。


健ちゃんのお母さんが言っていることは、分かっていた。


ただ、自信を持って頷くことができなかっただけだ。


なんとなくだけど。


本当に心から応援して下さっているのかしら?


健ちゃんのお母さんが言ったこと。


その困惑した表情を見て、頷けなくなってしまっただけだ。


こちらは迷惑なのよね。応援はできない。


まるで、そう言われたような気がした。


「真央さん。もうひとつだけ、聞いてもいいかしら」


今度はわたしが頷く間もなく、健ちゃんのお母さんは聞いた。


「耳が聴こえない真央さんと、健康な健太に、未来はあるのかしら?」