恋時雨~恋、ときどき、涙~








よく晴れた、日曜日。


わたしも健ちゃんも、寝坊した。


こんなだらけた休日の昼食は、手軽にチャーハンで済ませることにした。


寝癖でぼさぼさのハリネズミ頭の健ちゃんが、チャーハンをスプーンですくうわたしの肩を叩いた。


「真央、真央」


ハリネズミみたいな頭しちゃって。


子供みたい。


わたしは笑いながら、首を傾げた。


〈なに?〉


健ちゃんが、壁時計を指差す。


「今1時前だんけ」


わたしは頷いた。


「これ食べたら、出掛ける支度してくれ」


3時に出発だんけな、と残りのチャーハンをかきこんで、口をもぐもぐさせながら健ちゃんは両手を動かした。


「今日はいつもよりおめかししとけ」


わたしは首を傾げた。


何が何なのか、いまいち分からない。


〈おめかし? どこに行くの?〉


「ちょっとな。たまには、高めのイタリアンにでも連れてってやろうと思ったんけ。真央、イタリアン好きだろ」


笑った時の健ちゃんの変化に、どうしてわたしは気付くことができなかったのだろう。


〈やったあ! 嬉しい〉


久しぶりのデートに、わたしはただ浮かれていた。











メイクを終えて、お気に入りの水色のワンピースに着替え、リビングへ戻る。


健ちゃんの姿はまだなかった。


ソファーに座り、ハンドミラーでメイクのチェックをしていると、隣の部屋のドアが開いた。


えっ……


わたしは息を呑んだ。