恋時雨~恋、ときどき、涙~

順也の手話は、いつだって優しい。


「ぼくは、もう、諦めたりしないって決めたんだ」


他の誰よりも、穏やかだ。


「一度死んだ人間は、強いんだ」


なぜだろう。


今日の順也は、知らない男の人に見える。


とてもかっこよく見えた。


「たぶん、だけど。ぼくはあの事故で、一度死んだんじゃないかって。そう思うんだ」


でも、生き返ったんじゃないかって。


歩けないと宣告されて、ぼくは地獄に落ちた。


でも、這い上がって、今、ここに居る。


これがぼくの運命だって言うなら。


「もう、ぼくに怖いものなんてない」


そう言って笑った順也の瞳は、まぶしかった。


時折、優しい風が吹いて桜の花びら舞う中、両手を動かす順也はとても凛々しかった。


「どんなに反対されても、ぼくは諦めたりしない」


自信に満ち溢れた順也だった。


「本当に大切なんだ。しーが。しーも諦めないって、言ってくれた」


この世界に『永遠』なんていうものは存在しないと、わたしは思っていた。


もしかしたら、今も、少なからず思っているかもしれなかった。


でも。


「しーの親から話したいことがあるって言われた時。反対されるってすぐに分かったし、確信したよ」


でも、今日の順也を見て、信じてみるのもいいかもしれないと思った。


永遠、を。


「でも、思ったより、平気だった」