恋時雨~恋、ときどき、涙~

順也がわたしを指差して、


「真央も」


静奈を指差して笑った。


「しーも、これ、大好きだよね」


順也がわたしたちに買ってくれたのは、りんご飴だった。


真っ赤な姫りんごを薄い飴細工が包んでいる、りんご飴。


わたしと静奈は目を合わせて笑った。


高校生の頃、夏休みになると3人であらゆる夏祭りに繰り出しては、そのたびに必ずこのりんご飴を買って食べたっけ。


わたしたちは、気づけばこうしていつも3人一緒だった。


それが当たり前だった。


だから、この先もずっと、3人は離ればなれにはならないんだろうと思っていた。


そう信じていた。


ひと通り屋台も回り尽くした時、飲み物買ってくるね、と静奈が離れて行った。


満開の桜の木の下のベンチを、順也が指差す。


「たくさん歩いて疲れたでしょ。そこで座って待っていよう」


〈そうだね〉


わたしは頷き、ベンチに腰を下ろした。


わたしの正面に車椅子を停めて、順也が桜の木を見上げた。


優しい春の風が、桜の花びらを舞い上がらせる。


「ねえ、真央」


わたしの顔を扇ぐ順也は、最近、やけに大人びた。


「実は、今日。ものすごく緊張してるんだ」


両手を動かして、順也は大きな深呼吸をした。


なぜだろう。


順也の固い表情から、こっちにまでその緊張が伝染した。


わたしも深呼吸をした。


〈どうして? 何かあるの?〉


私が首を傾げると、順也は苦笑いした。