恋時雨~恋、ときどき、涙~

「中島。ひっどい顔だね」


静奈が声をかけると、中島くんは肩をすくめた。


「やばいよ。ゾンビみたい」


静奈が笑い、


〈ひどい。別人みたい〉


わたしも笑うと、中島くんは頭を掻いて苦笑いした。


「うん。自分でもそう思うよ」


その時、勢い良くドアが開き、中島くんの顔面を直撃した。


中島くんが尻餅をついて、顔面を両手で覆う。


「あれ? 何やっとんねん、旬」


ドアから出てきたのは、キョトンとしている幸だった。


「そんなとこに居ったら危ないやんか」


「えっ……幸……?」


中島くんは幸を見上げながら、固まってしまった。


「いつまで座っとんねん。はよ立ち。学校に遅れてまうで」


ドアを閉めて施錠をした幸は、いつもの元気で明るい彼女だった。


濃ゆいメイク、気合いの入った髪型。


真っ白なシャツワンピースの首もとに、お星さまを輝かせて。


幸は青空に向かってうーんと伸びをした。


「めっちゃええ天気や」


眩しい。


幸の首もとで3つのお星さまが、太陽の陽射しを反射して輝いていた。


幸の元気な手話を見て、わたしの心が青空のように一気に晴れていくのが分かる。


「真央、静奈。学校行くで」


すたすた歩いて行く幸を見て、中島くんは無表情で固まっている。


「中島」


静奈が声をかけると、


「幸……なんか、すごい元気じゃなかった?」


と中島くんは拍子抜けした様子だ。