恋時雨~恋、ときどき、涙~

「なあ、さっちゃん」


嵐さんのお母さんが、幸の震える手にそっと触れた。


「他の事は忘れてしもうても、さっちゃんの誕生日は覚えとったんやなあ」


震える手で、幸は桜色の小箱の蓋をそっと開いた。


キラキラ、キラキラ。


輝く、お星さま。


3つの小さなお星さまが連なる、華奢なネックレスだった。


輝くお星さまに、幸の涙がぽつりと落ちる。


「めっちゃ……きれいやなあ」


幸の唇が、震えていた。


「嵐の目えみたいに輝いとるわ。ほんまに……きれいやなあ」


小箱からそっと取り出して、嵐さんのお母さんが幸にネックレスを付けてくれた。


「わあ。さっちゃん、よう似合うとるよ。さっちゃんにぴったんこや」


3つの小さなお星さまをそっと握りしめて、


「うちにはもったいないわ」


と幸は大粒の涙を落とした。


「嵐。ありがとう。覚えとってくれたんやね……もう十分や」


幸せ過ぎてかなわんわ。


それだけ言って小さく小さく笑ったあと、幸は我を失ったように泣いた。











さっちゃん。


嵐を好いてくれて、ありがとう。


あの子は、世界一、幸せやったはずよ。


困ったことがあったら、いつでも連絡してきてな。


おばちゃん、すっ飛んで来るで。


さっちゃんが幸せになることが、嵐のいちばんの幸せだと思うんよ。


だから、笑うておってくれなあかんで。


嵐を愛してくれて、ほんまにありがとう。


そう言って、嵐さんのお母さんは大阪へ向かった。