恋時雨~恋、ときどき、涙~

健ちゃんが、わたしを真っ直ぐ見つめた。


わたしは泣きながら、今日の切ない出来事を伝えた。


幸という友達が、ずっと苦しんでいたこと。


でも、わたしは結局何も力になってあげられなかったこと。


〈苦しい。悲しい〉


「そっか」


と健ちゃんは優しい笑顔で、わたしの髪の毛を撫でた。


「真央は、その、幸っていう子のことが好きなんだな」


わたしは頷いた。


わたしは、幸が大好きだ。


〈大好き。静奈と同じ。大切〉


「身体についた傷は、時が来ればかさぶたになって、いつか治る。でも、心の傷は時が経つほど深くなって、広がるんけ」


健ちゃんの両手が言った。


真央が軟膏になって、静奈ちゃんが絆創膏になってやれ。


〈健ちゃん〉


わたしが顔を扇ぐと、健ちゃんは首を傾げた。


〈幸は、強いと思っていた。でも、違った〉


彼氏が自殺をしても、幸は気丈だったから。


幸は強い女の子なのだ、とわたしは思っていた。


〈幸の我慢に、気付いてあげられなかった〉


うつむいたわたしの肩を、健ちゃんが叩く。