恋時雨~恋、ときどき、涙~

「腹へっただろ? 飯、食うんけ。リビングに行ってて」


〈ありがとう〉


わたしは洗面所で手洗いうがいをして、リビングに腰をおろした。


レストランみたいだ。


カレーライス、サラダにスープ。


スープはインスタントのコーンスープだったけれど。


健ちゃんは次々にそれらをテーブルに並べていく。


美味しそうなのに。


本当にもったいないくらい美味しそうなのに。


でも、正直、わたしは食欲がなかった。


「真央?」


向かい合って座った時、健ちゃんが顔を扇いできた。


「真央、あのな」


〈なに?〉


「今度から、遅くなる時はメールして欲しい」


心配したんけな、と健ちゃんは笑っているのに肩をすくめた。


「真央に何かあったんじゃないか、って。死ぬほど心配になるんけな」


〈ごめんなさい〉


申し訳なくてすぐに謝ると、健ちゃんはにっこり微笑んだ。


「もう、いいんけ。食べよう」


わたし、一体、なにをしているんだろう。


幸のことが心配で、気掛かりでたまらないのに。


静奈や中島くんのように、追い掛ければ良かった。