その声に気付いたのか、前を歩いていた亘さんと汐莉さんが立ち止まった。


振り返り、わたしたちを見て笑うと、ふたりはまた歩き出した。


「おれに危険が迫ったら、真央が教えてな」


わたしは、自分の顔を指差して首を傾げた。


わたしが?


健ちゃんが頷く。


「そうだなあ……例えば、自転車とかが来たら、おれにピースして」


そう言って、健ちゃんはわたしにピースを突き出して、笑った。


そっか。


ナイスアイディア。


わたしは、頷いて歩き出した。


「花火、好き?」


後ろ歩きをしながら、健ちゃんが言った。


わたしは頷いた。


「そっか。じゃあ、今度はみんなで花火しよう」


もう一度、頷く。


健ちゃんは、わたしが答え易いような事を選んで、たくさんの事を話してくれた。


質問も、頷いたり首を振って答えられるように、考えてふってくれる。


その時、健ちゃんが早足で戻って来て、わたしを道の隅によけてくれた。