恋時雨~恋、ときどき、涙~

今ほど、自分を無力だと思ったことはないかもしれない。


救いたい。


幸を、この暗闇から、今すぐにでも救いたい。


どうして、わたしは本当に何もできないのだろう。


大切な友達が、こんなになるまで自分を押さえ付けていたのに。


わたしに、何か最強の力があればいいのに。


「助けてえな! お願いや!」


わたしの上で、幸は泣き崩れた。


幸の痩けた身体を抱きすくめようとした時、突然、


「幸!」


怖い顔をした中島くんが、幸の左腕を強く引っ張り上げた。


「幸!」


中島くんが大きな声を出しているのだと分かった。


牙を剥くような怖い顔をした中島くんを、わたしは初めて目にした。


「引っ張らんでよ! 痛いっちゅうねん……」


突然のことに、びっくりしたのだろう。


幸がきょとんとして、中島くんを見上げた。


幸の唇がゆっくり動く。


「なんやねんな……」


でも、中島くんの表情は怖くなっていく一方だ。


幸を威嚇するように睨んでいる。


「幸、ちょっと立って」


とわたしの上に居た幸を引っ張りあげ、立ち上がらせた。