恋時雨~恋、ときどき、涙~

アホか! 、と幸がわたしを睨んだ。


「頼る、頼らんて何やねんな! なんやの! えらそうに!」


と幸は牙をむく魔女のような怖い形相で、わたしの肩に掴みかかってきた。


「真央はええやんか! 大切な人が、そばにおるんやもんな! 毎日、一緒に居られるやんか!」


そう叫んで、幸はわたしを押し倒し、今度は幸がわたしに馬乗りになった。


抵抗するわたしの両肩を押さえ付けて、幸は睨んできた。


幸の髪の毛にからみついていた草が、空を切るように芝生に落ちる。


「幸せもんの真央に、うちの気持ちなんか一生分からん! 分かったようなくち、きかんといてや!」


幸の涙が、水滴のようにわたしに降ってくる。


わたしは抵抗をやめて、ただ涙を溢れさせる幸の唇を、下から見つめ続けた。


「うちはな、会いたくても、もう会われへんねん! 二度と、会えんねや!」


もう、わたしの顔を濡らしているのが、自分の涙なのか幸の涙なのか、分からなくなった。


「せやけど、我慢しなあかんねん。泣いたら、あらしは戻ってくるん? 戻ってこおへんやろ?」