恋時雨~恋、ときどき、涙~

幸の細くてしなやかな髪の毛に、草がからみついていた。


「どいてや!」


幸が、わたしを睨む。


悔しくて、わたしも睨み返した。


どくもんか。


叶うものなら、わたしも大声を上げて幸に怒鳴り散らしたい。


悔しい。


どうして、わたしはこの気持ちを両手でしか表せないのだろう。


力ずくでしか、気持ちをぶつけることができない。


歯がゆくて、もどかしくて、情けなくて、ただ、悔しかった。


息があがる。


わたしは両手を振り乱した。


〈どうして?〉


わたしの両手を見つめて、幸は眉間にしわを寄せた。


「なにがよ」


〈幸は、いつもそう!〉


わたしは、悔しさのあまり泣いていた。


わたしの頬を伝う涙は温度を失って、幸の頬に移り落ち細かく弾けた。


幸が威嚇するように、大きな口を開けた。


「なにがよ!」


〈幸は、いつも、平気な顔ばかりする。いつも、笑ってばかりいる。どうして、わたしたちを頼らないの?〉


悔しい。


いつも頼ってばかりいるのは、わたしだ。


友達なのに。


もっと、弱さを見せてくれてもいいのに。