恋時雨~恋、ときどき、涙~

「真央に、うちの何が分かんねん!」


まるで、知らない女の子みたいだ。


「同情してるんやろ! かわいそうや、思うてんねやろ?」


わたしは首を振りながら、後退した。


幸の迫力は鬼気迫るもので、尋常ではなかった。


「幸! 落ち着いて! 真央はそんなこと……」


と抱きすくめながら押さえつける静奈を、幸は強い力で振り払った。


「なんなん! 真央も、静奈も!」


と幸は立ち上がり、尻餅をついた静奈とわたしを指差した。


「んな生ぬるい同情なんか、されたないわ!」


突然、わたしの頭に血がのぼった。


カッとなった。


わたしは、幸のジャケットに掴みかかった。


幸のバカ。


限界が来るまでひとりで我慢して辛抱ばかりするから、爆発しちゃうんだ。


わたしは立ち上がり、睨みながら幸の細い肩を突き飛ばした。


「何すんねん!」


幸も、わたしを突き飛ばし返してきた。


突き飛ばして、突き飛ばし返して、を何度も何度もわたしたちは繰り返した。


最後に、いちばん強い力で突き飛ばして、わたしは幸を押し倒してに馬乗りになった。